村上氏は以前から「日本は過去の歴史から顔を背けてはならない」という信念を表明してきた。昨年の東京新聞とのインタビューでは「われわれは歴史を背景に生きており、歴史はいくら隠そうとしても、必ず外に出てくる」「歴史は自分たちが負うべき集合的な記憶」と述べた。村上氏の小説『騎士団長殺し』には、南京大虐殺当時、日本の蛮行を認める内容が記載されている。これに怒った日本の右翼たちは村上氏を攻撃したが、彼は「自分の国の良い歴史だけを若い世代に伝えようとする勢力に対抗しなければならない」として屈しなかった。
同年には自らの父が帝国主義の時代に徴兵された日本軍人だったと初めて明らかにした。月刊誌「文芸春秋」への寄稿文で、父が1938年の中日戦争に徴兵され、中国に送られたことを明かした。小学生だった頃、父から自らが所属していた部隊が中国軍の捕虜を処刑したという話を聞いたことがあるという。村上氏は当時を回想し「人間の首が切られるという残忍な光景は、言うまでもなく幼い私の心に強烈に刻まれた」と語った。「いくら不快であっても、目を背けたくなることがあっても、これを自らの一部として受け入れなければならない。もしそうしなければ、歴史というものの意味はどこにあるのか」
村上氏は数年前からノーベル文学賞候補として名前が挙がる日本の代表的な作家だ。『ノルウェイの森』など初期の作品が欧米で翻訳され、世界的な人気作となっている。韓国でも1990年代『ノルウェイの森』『海辺のカフカ』などが翻訳され、ハルキ・シンドロームが起こったことがある。