ただしその一方で崔次官は「われわれと新たな枠組みを築く勇断を下す意志もない米国」と表現することで、今後の交渉の余地も残した。談話には米国に対する露骨な非難メッセージも含まれていなかったため、外交関係者の間では「北朝鮮は取りあえずメッセージの水位を調節した」との評価も出ている。
崔次官の談話は、文大統領が今月3日に「朴智元(パク・チウォン)国家情報院長内定」という破格の人事を通じ、徐薫(ソ・フン)安保室長-朴智元・国家情報院長-李仁栄(イ・インヨン)統一部(省に相当)長官-鄭義溶(チョン・ウィヨン)・イム・ジョンソク安保特別補佐官など、対北朝鮮政策における人材を安保ラインの前面に布陣させた翌日に出た。今年初めに「独自の南北協力」を発表したものの、先日の北朝鮮による開城南北共同連絡事務所爆破挑発以降、米朝首脳会談のカードを取り出し、さらに安保政策担当者の改編という「勝負の一手」まで出した文大統領としては、崔次官の今回の談話によって一層頭を痛めるしかない。青瓦台のある幹部は5日、今回の国家情報院長人事について「完全に文大統領の決定」とした上で「過去の歴史よりも国政と未来を考えたもの」と説明した。しかし北朝鮮が文大統領に対して事実上「米国を動かせなければ、韓国の役割は何の意味もない」とのメッセージを送った中、新たな安全保障政策担当者も「鄭義溶・安保室長を除けば米国ではなく北朝鮮通ばかりのため、限界は明らか」との指摘も出ている。
世宗研究所米国研究センターのウ・ジョンヨプ所長は「崔善姫次官の談話は米朝対話そのものを拒否したというよりも、米国が全面的な制裁緩和など枠組みを変える新たなカードを持ってこなければならないという圧迫メッセージだ」「しかし米国もこれを受け入れられないため、米朝対話は最終的には空転する可能性が高い」との見方を示した。