【朝鮮日報コラム】「良い裁判」約束していた大法院の裏切り

あきれた法適用ミス、それを隠そうと事実まで歪曲
無責任な上告棄却を乱発、「良い裁判」語る資格あるのか

 大法院の問題はこれにとどまらない。弁護士たちは、無責任な上告棄却の乱発が最も深刻な問題だと指摘する。「判例を示さない」「法理を発展させるつもりがないようだ」との批判が相次いで出ている。大法院が当然すべきことを、していないというわけだ。

 ある弁護士が経験談を語ってくれた。大法院の判例がない事件で、上告理由書を100枚も書いて「(大法院まで上がってきた)初の事例であるため、判決理由を明らかにして判例として確立してほしい」と訴えたという。しかし大法院はわずか4文の判決文で上告を棄却した。弁護士が提出した上告理由書の題目が判決文のほとんどを占め、「原審に誤りはない」と付け加えただけだった。なぜそうなのか、理由は自分たちで判断せよと丸投げしたわけだ。90%以上の大法院の刑事判決が、このような「問答無用の上告棄却」によって終結している。

 別の弁護士の話では、争点の全く同じ二つの事件が、下級審で正反対の結論が出て、大法院に上がったものの両方の上告が棄却されたというケースもあったという。大法院が「法の解釈基準提示」という任務を放棄したわけだ。上告審の事件数は減っているが、事件処理期間はどんどん長くなっている。権利救済が遅れれば当事者たちの苦痛はそれだけ大きくなる。大法院の「裁判の力量」が以前ほどないか、あまり仕事をしないために起きている結果だといえる。

 金命洙(キム・ミョンス)大法院長は就任以降、一貫して「良い裁判をする」と言ってきたが、今の大法院の姿とは程遠い。国民の権利救済をおろそかにし、初歩的な事案でミスを連発しては隠すことばかりに躍起になっている大法院が「良い裁判」を語る資格があるのか問いたい。下級審と弁護士たちには尊重もされなくなっている。良い裁判は口先だけでできるものではない。

イ・ミョンジン記者

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