【朝鮮日報コラム】票を数える人が全てを決定する?

 現実に戻り、我々は現在困った状況にある。4月の総選挙で投開票の不正疑惑を巡る問題点、特に事前投票の問題点が指摘されている。多くの統計学者も統計上のエラーを指摘している。投票用紙が野党議員の手に渡っていたほか、開票された投票用紙がパンを入れる段ボール箱にぶち込まれていた。「ピン札の束のような事前投票用紙」を告発した弁護士もいる。それでも与野党、親与党・親野党の間の攻防ばかりで、不正の有無を判断する選管は腕組みしたままだ。見苦しいことに野党内では「不正の有無」で人身攻撃が続き、野党勢力のユーチューバーの間では「サクラ論争」が起きている。保守・メディアも不正の有無を巡り、自害的な論争を繰り広げている。

 選管が積極的に再集計を行い、疑問が提起された場所を司法当局が法的にチェックすれば、真相は明らかになる。ところが、そこに問題がある。選管は既に信頼を失った。文在寅(ムン・ジェイン)選対にいた人物が選挙管理委員になり、野党枠の選挙管理委員が空席のままでは選管が疑惑解明に乗り出すかどうか未知数だ。既に提起された再集計要求など139件の選挙無効訴訟をどう受け入れるかも不透明だ。検察の権力監視意思は恐らく「チョ・グク事件」までだった可能性が大きい。検察の気力は既に大きくそがれ、剛直な検事が少ない状況で、政権与党が酔っている「総選挙勝利」にメスを入れる勇気があるかは疑問だ。この国の司法の総責任者である大法院は国民の間で権力の手先と認識されて久しい。

 そんな中で選挙不正を指摘することすら、公然と事を荒立てるように思われるムードだ。「また選挙不正と言いだすのか」と皮肉られ、問題は覆い隠されている。我々にはドイツ憲法裁の判決のような「恵みの雨」は降らないのか。我々に選挙不正を告発する内部の勇気はないのか。我々には「票を入れる人が全てを決定する」世の中ははるか遠いのだろうか。

金大中(キム・デジュン)コラムニスト

前のページ 1 | 2 次のページ
<記事、写真、画像の無断転載を禁じます。 Copyright (c) Chosunonline.com>
関連ニュース
関連フォト
1 / 1

left

  • 【朝鮮日報コラム】票を数える人が全てを決定する?

right

あわせて読みたい