中国のある中学校でこのほど、新型コロナウイルスによる休校中に太った学生の体重を元に戻すためという名目で「ダイエット授業」が開設され、毎日100分のランニングを生徒らに強要している。校長はメディアの取材に対し、授業の趣旨を「少女はスリムなほうが美しい」と説明した。
問題の学校は中国江蘇省淮安市にある「淮安曙光双語学校」。3月31日から生徒らは毎日午前、午後、放課後の3回、計100分にわたり、集団で運動場を走っている。
ダイエット授業は朱永前副校長のアイデアだ。朱副校長は「3月に学期が始まって以降、生徒たちが以前よりも太ったのが目立った。コロナの影響で長期間家にいて、よく食べよく寝たせいで肥満になった」と指摘した上で、「100分ランニングは生徒たちの肥満問題を解決するための学校の窮余の一策だ」と説明した。
しかし、学校側の趣旨が「外見至上主義」を強調し過ぎているという指摘も聞かれる。
同校の校長は中国青年報、上海熱線などのメディアの取材に対し、「とにかく少女はスリムな方が美しいではないか」と話した。また、「子どもたちは家ではコントロールが利かず、たくさん食べ過ぎる。太った子どもたちだけを走らせればコンプレックスを抱くと考え、全員で走らせるように配慮した」と説明した。
学校側は生徒らに対し、メディアの取材時に何キロ減量できたかを答えさせた。
100分ランニングが生徒らの健康にむしろ危険をもたらす懸念もある。中国教育当局は生徒らのランニングを奨励しているが、1日60分までとする指針を設けている。
コロナ事態後に授業を再開した中国の中学、高校では、体育の授業でマスクを着用して走る途中に生徒が死亡する事故が相次ぎ、警戒が高まっている。現在中国の大半の学校では走るテストをなくしたり、野外活動を軽いものにしたりしている。