現在政権の座にある当時の野党は、政府発表を信じようとしなかった。世界的な金属工学者が発表した科学的事実に対し、柳時敏(ユ・シミン)氏は「小説」だと言った。一時は、天安爆沈を信じないことこそが、何か優れた人物であるかのような風潮まであった。「地方選挙用の『北風』工作」というデマもかなり出回った。兵士たちが家に電話をかけて「北朝鮮とわざわざ戦争しようとしているが、防がないといけないんじゃないか」と言う事件まで起きた。
文在寅(ムン・ジェイン)大統領が天安爆沈を認めた後、デマは消えた。事実を認めるとか認めないとか言うこともない。北朝鮮の攻撃ではなかったのであれば、この10年の間に何十回も良心宣言が出たはずだ。だが、実際にはただの一度もなかった。それでも、デマを主張していた人々は依然として大きな顔をして歩き回っている。狂牛病デマ、THAAD(高高度防衛ミサイル)電磁波デマを言いふらしていた人々も同様だ。狂牛病デマを主張していたある人物は、米国でハンバーガーを食べたりもしていた。天安デマは、痛ましい天安遺族の胸を引き裂いた。デマを流布した人々は、いまだに「申し訳ない」の一言もない。それでいて、口さえ開けば「正義」を叫ぶ。
アン・ヨンヒョン論説委員