捨てられた認知症の老婦人「娘はきっと帰ってくる」

 2月3日、老婦人の居住地とされる永川市の市場付近の店を訪ねたところ、昨年8月19日に都市ガスの点検に訪れた際に貼り付けられた貼り紙が貼ってあった。周囲の店のオーナーによると、老婦人はここで50年にわたって洋服の販売をしながら生計を立てていたという。夫と別居し、一人で暮らしながら店で寝泊まりもしていた。一日中働いて稼ぎ、一時は数億ウォン(数千万円)もするビルを購入していたことも分かった。痴呆の症状が出始めたのは昨夏からだったという。

 周囲の商店街のオーナーたちは「おばあさんは病院に通いながら店を守った」とし「これまで商売をしながら稼いだ財産は、子どもたちに事業資金として与え、当の本人は思いもよらない病気になってしまい、非常に残念だ」と話した。また、「おばあさんは、長女を経済的に助けてやることができず、申し訳ないと言っていた」という。息子とは数十年にわたって音信不通の状態が続いていたという。

 警察は、長女が精神病院に入院中との情報を入手し、住所の割り出しに乗り出した。警察は「これまで分かっていることは、2018年10月に次女が長女に老婦人を預け、その後長女が面倒を見て来たこと」とし「長女が本人も精神病を患っているため、実母の面倒をこれ以上見ることができなくなり、交番に実母を置き去りにした可能性が高い」と明らかにした。

 警察は、Bさんの行方を追っているほか、その他の息子、娘の所在の確認に全力を上げている。もし、長女が実際に精神病を患っている場合、刑法上の保護責任者遺棄罪に当たるかどうかは不明だ。子どもたちから捨てられた老婦人は、警察が「娘さんが捨て去った可能性がある」と言うと「うちの娘は何も悪いことをしていない」と言ったという。警察は「関係機関と話し合い、老婦人を保護する方法について検討中」と明らかにした。

永川=クォン・グァンスン記者
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