究極の辛さ求める韓国20-30代の「辛世代」

 景気が悪いと辛い味を好む傾向が強まるという分析もある。事実、アジア通貨危機(1997年12月)直後の1998年には辛いラーメンの代表格「辛ラーメン」の年間売上高が20%も急増した。ソウル・江南には後の人気店「ハンシン・ポチャ」がオープン、「辛い鶏足いためシンドローム」をまき起こした。2008年の米リーマンショックに端を発する世界金融ショック時も、伸び悩んでいたインスタントラーメンの消費が増え、2012年の欧州債務危機では経済成長率が鈍化した際、大手食品メーカー「三養」の「プルダック焼きそば」が人気を集めた。青年体感失業率20%台を記録した昨年、若者たちは「プルダック」や「麻辣」などの辛い味に夢中になった。昨年のコンビニ「CU」にけるプルダック・ラーメン・シリーズの販売数は2018年に比べ23.5%増加した。

 専門家の間では、辛さを好む現象を「ストレス」と関係付ける分析が多い。ソウル大学心理学科の郭錦珠(クァク・クムジュ)教授は「深刻な就職難などに苦しんでいるN放世代(すべてをあきらめている世代)が外部からの痛みを減らすため考案した、自分たちなりのストレス解消法だ」と分析した。就活中のパク・ボヒョンさん(28)は「昨年、就活をしていてすごくストレスがたまって、自分でも気づかないうちに麻辣味のものを食べるようになっていた」と話す。

 パク・ボヒョンさんの話は実際に科学的根拠がある。成均館大学薬学科のチャン・チュンゴン教授は「私たちの体は辛さを一種の『痛み』として受け入れるため、辛さを感知すると痛みを減らし、気分を良くするためエンドルフィンやドーパミンなどを分泌する。こうした物質には脳を興奮状態にしてストレスを軽減する効果もある」と説明した。

ファン・ジユン記者
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