米国の偵察衛星が両江道で捕捉
昨年9月のトンネル入り口の写真にはミサイル発射管のような物体も
北朝鮮が、地下ミサイル基地の疑いのある大型トンネルを両江道の中朝国境に建設した事実がキャッチされ、韓米当局が鋭意注視していることが分かった。有事における韓米両国の空襲などを避けるため、中朝国境にミサイル基地を集中建設しているのではないか、という分析がなされている。
韓国政府の消息筋が29日に明らかにしたところによると、昨年、中朝国境地域の両江道大紅湍郡に幅10メートルほどの大型トンネルが建設された事実が米国の偵察衛星に捕捉された。このトンネルは、入り口だけがあって出口がない。また、中朝国境地域からわずか6キロしか離れていない。韓国軍当局では、ミサイル基地である可能性が高いとみて監視中だという。
さらに、昨年9月に撮影されたグーグルアースの写真には、ミサイル発射管のような長さおよそ10メートルの円筒形の物体2基がトンネル入り口部分にある様子が捉えられていた。新型の北極星2型固体燃料ミサイル(最大射程およそ2000キロ)は、長さ12メートルほどの円筒形発射管に搭載されている。
専門家らは、北朝鮮が2018年以降実戦配備している北極星2型ミサイルは中朝国境付近に配備されてきた、という点に注目している。国連安保理の傘下にある北朝鮮制裁委員会は、昨年9月の報告書で「在日米軍基地全てを射程に収められる北極星2型ミサイルが中朝国境付近に実勢配備されたことを捕捉した」と明かした。北極星2型ミサイルを中朝国境付近に実戦配備した事実が国連によって公式確認されたのは、このときが初めてだった。有事の際に韓半島へ大規模な米増援戦力を提供する在日米軍基地への、北朝鮮の奇襲攻撃能力が大幅に強化されたのだ。固体燃料ミサイルは液体燃料ミサイルに比べ、奇襲発射の能力に優れている。当時、国連の報告書は、北極星2型が配備された基地を具体的に明示はしなかった。ただし「ノドン・ミサイルが一緒に配備された場所」と言及していることから、両江道の嶺底洞基地の可能性が高いという分析がなされている。
新ミサイル基地の疑いがある北朝鮮の大型トンネルは、嶺底洞基地から東におよそ100キロ離れている。専門家らは、新トンネルが中国との国境からわずか6キロしか離れておらず、有事の際には韓米両軍の戦闘機の空襲はもちろん、トマホーク巡航ミサイルでの攻撃も容易ではないとみている。