「李青天まで生体実験」…日本の蛮行資料示し、米国立衛生研究所を5年間毎週説得

 今年新たに公表されたNIHの研究倫理年報は、1932-45年の項目に「日本軍の731部隊の科学者が中国人戦争捕虜数千人に極悪非道な生物実験、化学兵器実験、ワクチン実験、生体解剖を含む治療・手術研究を行った」と記した。その上で、「米政府は生物・化学兵器研究資料を受け取る代わりに日本の科学者を戦犯として処罰しないことで合意した」とも指摘した。米政府が731部隊を黙認していたことまで記載されたのだ。年報は日帝の蛮行を9行にわたって記述し、ドイツ軍の生体実験記録(6行)よりも詳細に取り上げた。

 チョ教授の家族は科学者一家だ。チョ教授は建設交通部の公務員だった父親、チョ・オクホ氏(79)と母親に連れられ、初等学校(小学校)6年でカナダに移民した。チョ教授の三兄弟はいずれもカナダ・モントリオールにあるマギル大学医学部を卒業した。チョ教授は「マギル大に通う間、日帝の蛮行と韓国人の独立運動について発表する機会があったが、その際にも家族と共に準備したことがあり、今回の働き掛けにも大きく役立った」と話した。科学者として育った三兄弟は2005年に生命科学分野で最高の権威がある学術誌「セル」にショウジョウバエの胚芽細胞の分化過程を研究した論文を共同で発表している。

 「両親は常に『機会があれば、祖国に奉仕しなければならない』と言い、韓国の歴史と韓国語を徹底して教えてくれた。母は韓国に行くと、韓国の歴史と芸術に関する本をたくさん買ってきて、私たちに祖国を忘れてはならないと話していた」

 チョ教授の兄弟は両親の意向に沿い、韓国科学財団(現韓国研究財団)のフォーラムに出席するため、韓国を訪問するたびに医療奉仕を行ってきた。チョ教授は「改訂された年報が今後、日本の影響で変えられないように、世間に知ってもらうことにした。医学者であると同時に大韓民国国民として、良いニュースを国民と分かち合うことができてうれしい」と話した。

李永完(イ・ヨンワン)科学専門記者
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  • ▲米ペンシルベニア大医学部のチョ・バク教授(写真大)は科学者である兄弟、母親と共に5年を超える努力の末、米国立衛生研究所(NIH)の研究倫理年報に第2次世界大戦当時の日帝による人体実験の蛮行記録を掲載させることに成功した。写真の下部は左から韓医師で研究員の母親パク・インエ氏、医師で研究員の兄チョ・イン氏、ハーバード大医学部教授の弟チョ・ユン氏/チョ・バク氏提供

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