公演中カサカサ…ダウンジャケットで来場は迷惑行為?

公演中カサカサ…ダウンジャケットで来場は迷惑行為?

スマホの光・呼吸音・口臭に続きダウンジャケットもコンサート会場ではマナー違反?

「死体のように鑑賞すればいいのか」と反発の声 どこまでが迷惑行為か論争も

 「ダウンジャケットの音がしないようにご注意ください」

 先月初め、ソウル・大学路の小劇場で、公演開始前に鑑賞時の注意事項のアナウンスがあった。休憩中、ある30代の女性客が後ろの客席の方を見て、「ダウンジャケットのカサカサする音が大きすぎるわよ」と言うと、ダウンジャケットをひざの上に乗せていた中年女性が独り言のように「音が大きいってどれだけ大きいっていうの…」と言った。

 冷たい風が吹いてダウンジャケットを着る季節になると、公演会場などでは「クヮンク(鑑賞マナー違反、迷惑行為)」論争が起こる。「クヮンク」とは、「観(クヮン)」という漢字と、ゲームで致命的な被害を与える「クリティカル(critical)」を合わせてできた言葉で、公演などの鑑賞を妨害する行為を意味する。携帯電話を見る時に出る「スマホの光」や、体をいすの背もたれに付けず前に傾けて、後ろの席の人の視界を妨げる「スグリ」などが代表的な「クヮンク」だと言える。

 公演中に携帯電話を使ったり、違法な撮影をしたりするケースは大幅に減少した。来韓公演中の『オペラ座の怪人』の主演俳優ジョナサン・ロックスマスは「最近ツアーをした国のうち、韓国だけは携帯電話の音や光の妨害がなかった」と感心したほどだ。問題は、最近一部のマニア的な観客がダウンジャケットのこすれ合う音、呼吸音、口臭などまで「鑑賞マナー違反」だと規定して論争が起こっていることだ。これには「『気を付け』をした姿勢で息もするなということか」と反発の声も上がっており、こうした問題で公演会場ではもめ事も起きている。1週間に3回以上、舞台公演を見ているというカンさん(32)は「1つ1つの公演が大事だから邪魔されたくない。こういう気持ちを理解してくれるミュドク(ミュージカル・マニア)は主に座っている1列目(最前列)の客席を前売りで買う」と話す。熱狂的な舞台公演ファンが集まるインターネット上の掲示板では、ダウンジャケットや携帯電話に対する不満が最も多く、「口臭がしたら鼻で息をして」「笑うシーンじゃないのに笑うな」などの書き込みもある。

 厳しい鑑賞マナーを「死体観劇」と皮肉る言葉も登場した。ある公演関係者は「『呼吸の音が大きくて鑑賞の邪魔だ』と責められた。『座高が高いみたいだから、いすにもっと深く腰掛けてよ』と要求する人もいる」と話す。ミュージカル評論家のウォン・ジョンウォン氏は「年に国内外で120本以上、公演を見ているが、韓国のように厳格なマナーを要求する所は見たことがない。舞台公演は高価な文化商品だという認識があるため、お金を払っただけ見返りを得ようという心理があるようだ」と分析している。同氏も舞台の端を見ようと横を見たら抗議を受けたとのことだ。

 ダウンジャケットの音に敏感な観客たちは、劇場のクロークに預けたり、ロッカーに入れたりするよう要求している。「イエス24ライブホール」など一部の劇場ではダウンジャケットを入れることができる袋を支給している。

ピョン・ヒウォン記者
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