論争が起きると、青瓦台のコ・ミンジョン報道官は「文大統領は(香港・新彊問題は内政だという)習主席の言及を、ちゃんと聞いたという趣旨の発言を行っただけ」だと釈明した。中国側が、習主席の発言を文大統領の発言にすり替えたというのだ。この釈明通りなら、韓国政府は中国側の歪曲(わいきょく)発表に正式抗議すべきだ。しかし、「抗議する計画があったり、既に抗議していたりするのか」という質問に対し、韓国外交部のキム・インチョル報道官は「確認してみたい」としか答えなかった。
韓国政府のあいまいな態度は、先月22日に韓日軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の条件付き延長と輸出当局間対話を協議した後、日本側で「安倍首相は『日本は何も譲歩しなかった』と発言した」などの報道が出回った際の反応とはまるで違う。当時、青瓦台の鄭義溶(チョン・ウィヨン)国家安保室長が前面に出てきて「あらぬ主張をして相手を刺激し続ける場合、『こちらがどう出るか分からない』という警告的な発言」と前置きして「(日本に)try me(われわれを試してみろ)と言いたい」と発言した。
これまで米英豪など各国の政府が香港や新彊の人権問題を提起し、外務当局の声明などを発表したが、韓国外交部はただ見守るだけだった。
元職のある上級クラスの外交官は「文大統領が事実上、習主席の見解に同意したのではないかという合理的な疑いを抱く」と語った。峨山政策研究院安保統一センターのシン・ボムチョル・センター長は「もし他の目的のために国際人権に沈黙したのなら、韓国外交の原則を喪失した悲劇」と語った。