崔教授は、1980年代に民主化を主導していた、いわゆる「運動圏」勢力が主軸になっている現与党に対し懸念の声を上げた。崔教授は「(かつての)運動圏の学生が(現在の)韓国政治を支配する『政治階級』になった」として「軍部独裁を『絶対悪』と規定していた過去の経験に基づき、『民主主義対権威主義』『善と悪』など、イデオロギーの形で民主主義を理解する傾向がある」と語った。その上で「結局、多元的統治体制としての民主主義が抜け落ちて直接民主主義を真の民主主義だと理解し、全ての人民を多数派の『総意』に服従するよう強制する枠組みは、全体主義と同一の政治体制になっている」と指摘した。386(1990年代に30代で80年代に大学に通った60年代生まれの世代)運動圏の政治家について「もはや進歩といえるかどうか疑問」とも語った。
崔教授は、チョ・グク元法相の対談集『進歩執権プラン』について「権力争いを志向する傾向がある」として「ドイツの政治哲学者カール・シュミットの政治理論と深くつながっている」と語った。カール・シュミットの理論は全体主義の国家観で、ナチス・ドイツの基礎となった。
崔教授は、昨年憲法改正などを主導した大統領府(青瓦台)も批判した。崔教授は「議会民主主義など民主的基本秩序を超越した青瓦台が、韓国の政治を権威主義の方向へ引っ張っている」として「かつてのように改革を主張するが、その結果は『政府が正当』というもの」と批判した。崔教授は「民主主義の最も危険な敵対者は、自らを民主主義者だと考え、(民主主義のために自分が)戦っていると確信している行為者」と語った。