北朝鮮における人権に関する国連調査委員会(COI)のマイケル・カービー元委員長はこの日、米政府系放送ボイス・オブ・アメリカ(VOA)に出演し「(北送は)条約や法的専門性なしに行われたため、保護措置も行われなかった」と指摘した。その上でカービー氏は「北朝鮮住民二人が犯罪者だったという話は、他人をだますことで悪名高い国(北朝鮮)の主張にすぎない」「韓国に到着した北朝鮮住民は韓国国民となる憲法上の権利がある」などとも主張した。
国連恣意(しい)的拘禁作業部会のホン・ソンピル委員も本紙の取材に「これまでアジアでは珍しい人権主義国家として認められてきた韓国の規範的な位置を揺るがす大事件だ」「一般の難民も難民審査を受けるが、韓国国民と考えられる北朝鮮住民を、迫害を受ける場所に直接引き渡したのはあり得ない決定だ」などと主張した。ホン委員はさらに「今回の送還決定は拷問等禁止条約や強制送還禁止原則という国際法に完全に違反した」「これまで中国に対して『脱北者を北送するな』と主張してきた二つの根拠を韓国政府がどちらも無視した」などとも指摘した。これらの批判に対して韓国外交部(省に相当)のキム・インチョル報道官は「南北関係、そして北朝鮮と各国との関係を水平的に比較することはできない」と反論した。
国際人権NGO(非政府組織)のアムネスティ韓国支部は14日に発表した声明で「強制送還禁止原則は彼らが犯罪者かどうかに関係なく、全てのケースに適用される」「犯罪行為が確認される前に犯罪者と決め付け、北朝鮮に送還するのは公正な裁判を受ける権利を否定したものだ」として韓国政府の対応を批判した。アムネスティはさらに「もし二人が韓国に入国する前に犯罪を犯していたのであれば、韓国の法律に定められた行政的・刑事的手続きに沿って捜査を行い、国際的な人権の基準に合わせて判断を下せばよい」「二人は韓国で起訴されることも考えられた」などと主張した。