だが、アジアユース・ジュニア重量挙げ選手権はサッカーW杯予選とは違っていた。大会が行われた平壌市内の重量挙げ専用競技場には北朝鮮の観客が入場、韓国の報道関係者も2人いた。サッカーとは異なり、重量挙げ大会取材を北朝鮮が許可したのは、世界的な競争力を持つ種目の国際大会開催を積極的にアピールしようという意図があると見られる。朝鮮労働党機関紙の労働新聞は、北朝鮮選手団が金メダルを55個獲得して総合優勝を飾ったことを報道したものの、韓国人選手の参加には言及しなかった。
空港手続きのみで2時間以上かかり、宿泊施設盗聴疑惑が取りざたされるなど、2泊3日の滞在期間中に冷遇されたサッカー韓国代表ほどではないが、重量挙げの選手たちも平壌滞在は容易でなかったという。イ・ソンミは「手続きの際、肉が入ったインスタントラーメンを取られた。携帯電話なしでホテルにばかりいたので息苦しかった」と語った。
北朝鮮の観客たちは韓国人選手の試合や授賞式になると一斉に立ち上がって会場から出て行った。そして、北朝鮮選手の授賞式になると再び席に戻り、力強く国歌を歌った。
ジュニア男子89キログラム級で優勝した韓国のヨム・ダフンは、3位の北朝鮮パク・クムイルに手を差し出したが、そっぽを向かれた。ヨム・ダフンは「今回の大会で北朝鮮の選手たちと一言も話せなかった。北朝鮮の選手たちは距離を置いて警戒している様子だった」と語った。