吉野さんが最近関心を持っているのは「ET(Environment & Energy Technology=環境・エネルギー技術)革命」だ。「世界は今、情報技術(IT)革命を超えて人工知能(AI)、バイオなどのすべてを包括するET時代に入りました。私が専攻したLIBもこれとつなげて、環境問題にも明確な答えを出すべきだと思います」と言った。
吉野さんはほかの科学者たちよりも環境問題がはるかに深刻だと見ている。「温室効果ガスを含め、環境問題は人間が直面している重大な問題。しかし、これは逆に見ると、今後大きなビジネスチャンスになるかもしれません。何かこれに対してきちんとした答え(新たな技術)を出せれば、間違いなく成功するでしょう」と語った。
吉野さんはこの日のインタビューで、ノーベル賞受賞者として将来の人類社会に貢献しなければならないという新たなプレッシャーを抱えていることを示唆した。今後の研究計画を問うと、「将来の技術に、私が開発したLIBをどのようにつなげるかをさらに一生懸命考えて研究することが重要だと思います」と答えた。
吉野さんは韓国をよく訪れる知韓派でもある。「2-3カ月に一度、韓国に行ってLG・サムスン・現代の関係者たちに会う時もあります」と言った。韓国のLIB技術レベルについては「やはりこの分野で進んでいるのはLGとサムスンではないでしょうか。実質的な性能面がいいと思います」と評価した。韓日両国間で力を合わせることについても「韓国企業との協力は良いと思います。新しい材料を開発する時もそうだし、(さまざまな分野で)互いに手を取り合えると思います」と語った。