国策シンクタンクの警告通りに最悪に達する韓国の政府債務

 研究院はまた、一度導入すると廃止が難しい義務支出が急増すれば、政府債務比率が62.4%以上に上昇しかねないと指摘した。研究院は「2020年に10兆ウォン水準の新規義務支出を導入すれば、60年の政府債務比率は88.8%に達する」と試算。それに加え、「低成長リスク」が現実となれば、政府債務比率は最悪の状況になると分析した。研究院は16-60年の年平均実質成長率が予測値よりも0.3ポイント低下すると仮定すれば、60年の政府債務比率は94.6%に達すると見通した。

 ところが、現政権に入り、義務支出は2019年に15兆4000億ウォン、20年に13兆2000億ウォン(予算案基準)に達した。「10兆ウォン水準の新規義務支出を導入した場合」という前提を上回る拡張的財政政策を取っていることになる。政府が今年の経済成長率目標値(2.4-2.5%)を達成するのは困難だと公に表明するほど「低成長リスク」は現実化している。今後成長率が2%前後に低下するとの見通しも聞かれる。

 研究院の報告書は企画財政部が15年に発表した「2060年長期財政見通し」に基づいたものだ。企画財政部は当時、予想値に言及しながらも、「裁量支出の増加率を名目成長率以下に規制するなど、歳出の構造調整を行えば、60年の政府債務比率を40%以内に管理することが可能だ」と指摘した。しかし、文在寅政権は逆に税金をつぎ込む拡張的財政政策を展開してきた。沈議員は「文在寅政権は企画財政部が仮定した『最悪のシナリオ』を上回るポピュリズム政策で財政の健全性を大きく損ねた。この傾向が続けば、企画財政部と研究院が試算した『60年の政府債務比率94.6%』よりも悪い結果が出かねない」と話した。

 これについて、企画財政部は「来年『長期財政見通し』を発表することを準備中だ。義務支出増加、成長率低下などによる財政見通しの変化はその際に同時に検討されることになる」と説明した。

ユン・ヒョンジュン記者
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