これらをまとめると、この女性は脱北後、中国朝鮮族の男性と婚姻している状態で韓国に来た。脱北者定着支援施設「ハナ院」で2カ月間の適応教育を終えた脱北者は社会に出る時、基礎生活受給者に指定されて政府の財政支援を受ける。女性はこの支援を9カ月で脱した。夫が慶尚南道統営の造船所で働き、生活費を稼いだからだという。2人の間には男の子も誕生した。しかし、造船不況が慶尚南道一帯を覆うと、一家は中国に引っ越した。
ところが女性は昨年末、息子と2人だけで韓国に戻ってきた。夫とは離婚したことが分かった。女性の知人は「息子に病気があると聞いた。そのため、子守をしてくれる人がいなくて、女性は外に働きに行けなかったそうだ」と語った。ある脱北者は「生計を立てるのが困難な脱北者は『北朝鮮離脱住民支援財団』に申請すれば支援金を受け取ることができるが、子どものために家の外に出てほかの脱北者に会うのが難しかったこの女性は制度を知らなかったようだ」と言う。
死亡する直前、この親子の定期収入は1カ月10万ウォン(約8600円)の養育手当だけだったことも分かった。ある脱北者は「飢えから逃れようと脱北した人が大韓民国のソウルで飢え死んだというのが信じられない」と言った。政府が昨年実施した北朝鮮離脱住民定着実態調査では、回答者の3人に1人が「経済的支援が必要だ」と答えている。「就職・起業支援」を希望した脱北者が24.9%で最も多く、「直接の所得支援」を希望した脱北者は12.3%だった。
キム・ミョンソン記者