こうした望月記者に対し、菅官房長官が「あなたの質問にいちいち答える必要はない」と言ったのはもちろん、記者会見の担当職員が「簡潔に質問してほしい」などと言って望月記者が質問する1分30秒の間に7回も口を挟み、妨害したこともあった。また、望月記者の質問を巡り、首相官邸が東京新聞に書面で公式に抗議の意思を伝えてきたことだけでも9回もある-と東京新聞は明かした。望月記者が「事実に基づかない、不適切な質問」をしているというのだ。今年2月には、望月記者と東京新聞に圧力をかけるにとどまらず、官邸出入りの記者団にも抗議の意志をしたためた書簡を送った。「東京新聞側にたびたび、事実に基づかない質問を自制してほしいと求めた」として「官房長官記者会見の意義が損なわれないよう、問題意識を共有してほしい」という内容だった。望月記者を全方位的に圧迫したのだ。
問題は、記者の質問内容や方式を巡るこのような圧迫が、政府だけでなくメディア内部からも出てきたということだ。「東京新聞の望月記者、臆測と個人の視点が入り混じったでたらめな質問を連発」などの記事を数回にわたって掲載した産経新聞が、その代表例だ。これに関してNYTは、日本の言論界に「記者クラブという独特の文化があり、ここから排除されたりすると政府関係者の情報を得られなくなるので、記者は鋭い質問があまりできない」と指摘した。