韓米首脳はその後の略式記者会見で、米朝首脳会談の結果について説明した。トランプ大統領が先に「2-3週間以内に代表を選び、北朝鮮との実務交渉を始めることにした」などと金委員長との合意内容を述べると、文大統領は「今日の会談を通じ、韓半島(朝鮮半島)の完全な非核化と恒久的な平和を構築するための平和プロセスが大きな峠を一つ越えた」として「大きな期待を抱いている」と述べた。
結果的に文大統領はこの日、世界の注目をトランプ大統領と金正恩委員長に向けさせ、自身は一歩下がる姿勢を貫いた。文大統領はトランプ大統領を「ピースメーカー(peace maker)」と呼ぶなど、何度も同大統領を持ち上げた。高麗大の南成旭(ナム・ソンウク)教授は「文大統領は米朝間の会談の動力が途絶えるのを防ぎ、(2人の間を)つなげることに総力を傾けたのだろう」を評価した。この日の面会の発案者がトランプ大統領だったため、文大統領は「脇役」に徹したというわけだ。
ただしこの日のイベントを北朝鮮の実質的な非核化措置にどのようにつなげていくかは、文大統領の課題として残った。トランプ大統領は2-3週間以内に非核化の実務交渉を開始する意向を示した。しかし金委員長はこれまで、非核化の詳細条件を提示する実務交渉を拒否したまま、トランプ大統領との直接会談にこだわってきた。また最近では北朝鮮外務省の米国担当局長が「朝米(米朝)対話は、南朝鮮(韓国)当局が口を挟む問題では全くない」として韓国政府の役割を強く否定した。
南教授はこれについて「トランプ氏は結局、米国次期大統領選挙に向けた米民主党の候補者指名争いイベントにかぶせる形で今回の板門店訪問・米朝会談を急きょ企画し、一方の金正恩氏は『今年末まで勇断を待つ』と米国に非核化めぐる方針転換を求めている状況で、米国に押されないために対話に応じたという側面がある」として「最終的には非核化交渉が成功して初めて、文大統領の仲介者・促進者としての役割が評価されることになる」と指摘した。