米ワシントンにある米歴史博物館を訪れると、その雄壮な規模と周到な展示演出にも驚くが、愛国心と自負に満ちた米国人のプライドに感嘆させられる。大韓民国の歴史で最も誇らしい事実は世界の最貧国が世界10位圏内の国になった奇跡である点に誰も異議はないだろう。経済発展がなければ、民主化も不可能だった。また、粗末な土壁の家で救援物資を頼りに暮らしていた国が世界で7番目に人口5000万人、所得3万ドルの国になれば、その歴史は当然歴史博物館の中心的な位置を占めるべきだろう。
博物館は評価に異論がないか、評価が完了した資料を展示する場所だ。金正恩は核を放棄する考えが今後もないだろうし、対話をしていたかと思えばミサイルを発射する。それでいて、昨年の南北首脳会談の写真を博物館に掲げるというのか。世宗市と青南台(大統領別荘)の大統領記念館からも朴槿恵(パク・クンヘ)前大統領の写真を外し、文在寅大統領の広報展示をしているというのだから、今や博物館までもが権力を広報し始めたようだ。歴史博物館ではなく、政権博物館ではないかという声が上がるのは当然だ。
ハン・ヒョンウ論説委員