【寄稿】ワシントンの桜、そのルーツを知るべきだ

 ワシントンを訪問する文在寅大統領もこの美しい桜並木を通るはずだ。ただその見た目の美しさに感心するだけで終わるか、それともその裏にある歴史を考察するかは見守らなければならないが、文在寅大統領の頭の中は今、非常に複雑な状態にあると思う。ベトナム・ハノイで行われた米朝首脳会談の決裂後、北朝鮮の非核化に対する米国の見解は完全非核化と「ビッグディール」に転換、韓国政府の立場が難しくなっているためだ。さらに、米国側は韓国政府を信じられないとして露骨な不満を表している。米国に行って帰国した韓国大統領府の金鉉宗(キム・ヒョンジョン)国家安保室第2次長は「韓国と米国の最終目標は一致することを確認した。今回の首脳会談で良い結果が出るだろう」と言った。しかし、客観的に感じる会談の見通しはそれほど明るくなさそうだ。米国が要求する仲裁案を韓国政府が持っているのかも疑問だが、これまで積もりに積もった米国の不信が解消できるかも楽観が難しい状況だからだ。米国は「韓国は今、誰の味方なのか?」と単刀直入に聞いて来るかもしれない。

 20世紀の米国は、東アジアの大国に囲まれた韓半島の運命に何度となく介入してきた。そして、その歴史は韓国人にとって胸を痛める過去として残っている。日本の韓半島侵略を容認し、韓半島の分割統治でソ連と合意したのも米国だった。一方、命を懸けて韓半島の共産化を阻止した戦争の惨禍の中で、韓国が再び立ち上がれるよう助けてくれたのも米国だった。文在寅大統領の今回の訪米に期待と懸念を同時に抱くのは、韓米間の愛憎の歴史の中で、「北朝鮮の核」が再び韓半島の胸を痛める出来事として繰り返されることのないよう望んでいるからだ。

シン・ドンウクTV朝鮮『ニュース9』キャスター

前のページ 1 | 2 次のページ
<記事、写真、画像の無断転載を禁じます。 Copyright (c) Chosunonline.com>
関連ニュース
関連フォト
1 / 1

left

  • 【寄稿】ワシントンの桜、そのルーツを知るべきだ

right

あわせて読みたい