【寄稿】「運動圏権威主義」という逆説

 6番目は制度を不浄な形で操ることだ。金慶洙知事の一審裁判で裁判長は「金慶洙被告はドルイドキングの共犯」と断定した。前政権の国家情報院関係者を世論操作を理由に刑務所送りにした今の政権関係者が、選挙の時からコメント書き込みソフトを使って世論操作を行っていたのだ。そのため一審の判断が正しければ、これはネロナムブル(同じ失敗をしても、自分に甘く他人に厳しいの意)の極致だ。7番目は政治的な反対者に悪魔などとレッテル貼りすることだ。運動圏は自分たちに反対する者を「反民主・反民族・反民衆・反統一・反平和・事大売国・買弁資本」などと悪魔呼ばわりし、最近はこれらを一括して「積弊」と呼んで「壊滅させる」とまで言いだしている。

 「進歩」権力者たちの自信とは、要するにこれら七つの権威主義症候群に基づく「傲慢と偏見」から来るものであり、政権交代よりも長期政権、永久政権の発想とも言うべきものだ。この意欲は今後2020年の国会議員選挙で有権者が彼らに改憲ライン以上の議席を与えるかどうかに懸かってくるだろう。

 そのため保守系野党・自由韓国党における今回の代表選挙は非常に重要だ。有権者の多くが運動圏への支持は撤回しているが、だからといって自由韓国党の支持に回っているわけではない。このままでは自由韓国党は改憲阻止の議席数を上回れない可能性さえある。そうなると韓国社会は権威主義どころか、その先の全体主義に突き進むだろう。この最悪のシナリオにわれわれはどう対処すべきだろうか。自由韓国党がいかに適切なリーダーシップを示せるかに注目するしかない。

柳根一(リュ・グンイル)/ジャーナリスト

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