人口問題に詳しい国立社会保障・人口問題研究所の鈴木透氏は先日のインタビューで「日本政府による人口政策にさほど大きな成果はまだ出ていないが、少子化問題克服に向け努力していることを示すのは重要だ。それすらなければ出生率はもっと一気に低下してしまうだろう」と述べた。この言葉から、韓国における出生率の急落は政府の対応も一つの原因ではないかと心配になってくる。
今月11-15日、韓国では極度に高濃度のPM(粒子状物質)2.5が発生し、国民は大きな苦痛を感じた。現在、PM2.5発生時の緊急対策として公務員による自動車運転の2部制、道路の清掃、老朽化したディーゼル車の運行制限、石炭火力発電所の出力制限などが行われているが、これだけでは不十分と国民の誰もが感じている。だとすれば政府は新たな対策を提示するか、あるいは最低でも対策に取り組んでいる姿勢を示さねばならない。文在寅(ムン・ジェイン)大統領は22日「政府は手をこまねいていると言われている」として政府関係者を叱責(しっせき)した。文大統領は「今国民が願っているのは最善を尽くす政府だ。実行可能な特段の対策に取り組み、創造力と想像力を発揮しなければならない」と訴えた。
少子化も大気汚染もどちらも非常に困難で深刻な問題であるため、国と政府を挙げて全力で対策に取り組まねばならないが、それでも解決の見通しが立つかどうか分からない。しかし政府の存在理由はこのような困難な問題に取り組むことではないだろうか。政府が頭を痛めて解決策を模索しているとの印象さえ国民に与えられれば、今のように不安ばかりが膨らむことはないだろう。政府は積弊清算や北朝鮮問題に今も大きな関心を示し力を入れているが、その関心の半分、いや半分の半分でも少子化対策や大気汚染対策に振り向ければ、目に見える成果や見通しはずっと以前から出ていたのではないか。
キム・ミンチョル記者