韓国国防部(省に相当)が、核・ミサイルの脅威に対応する戦力を意味する「3軸体系」という用語を公式に廃棄することが10日までに分かった。韓国軍内外からは「北朝鮮非核化の実質的成果がないにもかかわらず、北朝鮮を意識した対北軍事対応システムの中心となる用語をなくすのは時期尚早」と指摘する声が上がっている。
国防部関係者は10日、「北朝鮮の核・ミサイルの脅威に備えた3軸体系戦力の構築は正常に推進する」と述べつつも「韓国型3軸体系という用語は、対象範囲や能力を確定させた『核・WMD(大量破壊兵器)対応体系』に変更する」と語った。国防部は11日に、こうした内容を含む「2019-23国防部中期計画」を発表する予定だ。韓国軍は、3軸体系のうち北朝鮮のミサイルを先制攻撃するキルチェーンは「戦略標的打撃」、大量反撃報復(KMPR)は「圧倒的対応」、そして韓国型ミサイル防衛システム(KAMD)は「韓国型ミサイル防衛」と呼び換えることにした。
しかし文在寅(ムン・ジェイン)大統領は、先の大統領選挙の公約で3軸体系の早期構築を掲げ、政権初期にも「韓国型3軸体系を速やかに構築すべき」としていた。韓国軍関係者は「昨年の3回の南北首脳会談や板門店宣言履行のための軍事分野合意書などで、韓半島(朝鮮半島)の軍事的緊張が緩和された。北朝鮮を不必要に刺激しかねない用語は変える必要がある」と語った。また国防部関係者は「『3軸体系』という名称を変えるのであって、『核・WMD対応体系』への投資を減らすものではない」とも語った。しかし野党側からは「北朝鮮の顔色をうかがって韓国側から先に防衛手段を放棄するもの」という批判の声が上がった。