【コラム】「ラストオーダー」という言葉を覚えた韓国の飲食店経営者たち

 「保守は世の中を縦に切り、進歩は横に切る」という。横に切ってみると、高低や違いが目につく。ある人は10億ウォン(約1億円)を超えるマンションで暮らし、ある人は郊外の1Kの部屋すら手に入れられない。だから、世の中を平らにならすと腕まくりしている。世の中には今日すぐにできることや、しなければならがたくさんあるが、すべてを今日のうちに全部することはできない。それなのに「全部やる」という。「じっとしてなんかいられない」と鼻息が荒い。やたらに大声でわめきまくって威圧する。

 世の中を縦に切ってみると、それでも良くなっている様子が見えてくる。50年前、韓国の輸出は4億ドル(現在のレートで約430億円)を少し上回る程度だったが、今は6000億ドル(約64兆5780億円)を超える。世界の最貧国の底辺から五輪やワールドカップサッカーの開催地となり、これだけの暮らしができるようになった。子どものころ、路上にはボンネットを開けっぱなしにしたタクシーがよくいた。エンジンからは白煙が吹き出ていた。「オーバーヒートした」とか「車がのびた」と言っていた。今の韓国の子どもたちは、このような光景を見たことがない。そういうタクシーが街を走っていたころ、テレビでは「日本の『MKタクシー』を見習うべきだ」と言っていた。「日本のタクシー運転手は信号待ちの時にぞうきんでダッシュボードをふく」そうだが、韓国のタクシー運転手はそういうことはできなかった。

 個人に問題があるのではない。国のレベルがそういう所にまで達していなかったのだ。今はそんなキャンペーンをしなくても韓国のタクシーはきれいだ。国民所得が増えるにつれ、オーバーヒートした「ブリサ」や「ポニー」といった古い車種のタクシーが消え、自動変速機付きの「ソナタ」「グレンジャー」といった高級車種のタクシーに取って代わった。今の政府は世の中を横に切っている。文在寅(ムン・ジェイン)大統領は新年のあいさつで「今日が幸せな国を作ろう」と言った。暮らしがさらに良くなる明日を夢見て、明日を作ってきた国民たちに「今日だけ見て暮らそう」と言ったのだ。あらゆる問題を一度にすべて取り上げて引っかき回しておきながら、急いで催促する。今でなければできないかのように焦っている。今年もつらい年になるだろう。

李陳錫(イ・ジンソク)論説委員

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