在外公館長会議に出席するため韓国に一時帰国している趙潤済(チョ・ユンジェ)駐米大使は、記者懇談会でこの問題に関する質問を受けたが、何も答えなかった。ワシントンの外交消息筋は「専用機の米国入国過程には口にできない複雑な事情がある」と語った。
外交部も「専用機の米国国内法(制裁)適用については、米政府に問い合わせてほしい」と言った。韓国大統領府と同じだ。「大統領専用機はもともと制裁免除になるのか」と尋ねると、外交部当局者は「(文大統領は)とにかく国連総会に問題なく出席した。制裁免除は申請していない」と述べた。米大統領令には、制裁対象が北朝鮮に行った航空機となっているだけで、民間機・軍用機・専用機の区別はない。
韓国大統領府は、中間経由地に米ロサンゼルスを検討していたが、チェコに最終決定した理由について、時差ぼけ回避のための「生体リズム」を考慮したと説明した。金宜謙報道官は「経由地をチェコに決めたのは制裁とは無関係だ。給油と、チェコとの首脳外交、そして代表団の時差適応を考慮した」と言った。
その上で、「(アルゼンチンに行くのに)西(ヨーロッパ)に行くのか、東(米国)に行くのかについては、人間の生体リズムや気流の問題などを考慮すると、西に行く方がはるかに時差適応に有利だ。飛行専門家に聞いてみてほしい」と述べた。
しかし、盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領=当時=は2004年の南米訪問時にロサンゼルスとハワイを経由地に選んだ。李明博(イ・ミョンバク)元大統領、朴槿恵(パク・クネ)前大統領も米国を経由して南米に行っている。歴代の韓国大統領のほとんどが、大統領府が提示した生体リズム論に逆らう経由地を通って南米に行ったというわけだ。金宜謙報道官は「もともとロサンゼルスを経由する予定だったのがチェコに変更されたのではなく、ロサンゼルスもスペイン・オランダ・ハンガリー同様、検討を経て脱落した経由地候補の1つだった」という趣旨の説明をした。