明治維新が日本をアジアの辺境にある一漁村国から、近代化に最も成功した国にするのに寄与したのは事実だ。天皇を担ぎ上げた侍たちは西欧の文物を受け入れて立憲君主制を定着させ、産業化を達成し、日本を世界の経済大国にした。しかし、明治維新は日本を軍国主義に走らせる萌芽(ほうが)になったという指摘も多い。当時の西欧の膨張主義をそのまま受け入れ、韓国を植民地化し、中国・フィリピンなどアジア各国に軍靴で踏み入った。
それにもかかわらず、安倍首相は明治維新が日本の近代化に寄与したことにばかり言及し、後に軍国主義の日本が戦争を起こし、2000万人もの犠牲者を出した負の側面については一切口にしていない。安倍首相は今年1月の国会演説で、「明治の先人たちに倣って、もう一度、あらゆる日本人にチャンスを創ることで、壁も、必ずや乗り越えることができる。今こそ、新たな国創りの時です」と述べた。自民党総裁選挙前にも「薩長で力を合わせ、新たな時代を切り開いていきたい」と語った。憲法改正や軍事力増強にまい進する意志をこのように表現したものだ。
日本の進歩勢力は「安倍首相は明治維新を利用して誤った道を再び進もうとしている」と批判している。帝国主義の日本がアジア各国に「多大な損害と苦痛」をもたらしたと反省した村山談話を継承する会はこのほど、安倍首相を批判する声明を出した。この会は明治維新以降、「アジア各国で2000万人、日本でも300万人の犠牲者が出た」と批判した。また、「日本の(明治維新からの)150年を語る時、あれほど大きな被害を生んだ侵略と植民地支配を許してはならない」と指摘した。「安倍首相は明治維新の精神を悪用し、軍備増強や憲法改悪を狙っている」とも批判している。この会は「(明治維新以降)侵略の歴史を隠ぺいし、日本の近現代史を歪曲(わいきょく)・ねつ造することは容赦できない」として23日に安倍首相を批判する集会を開く。