報復を依頼する韓国の校内暴力被害者たち

 こうした業者には、複数の報復方法を盛り込んだ「パッケージ商品」も存在する。ソウル市永登浦区のある業者は「叔父パッケージ」を販売している。大きな体格に入れ墨を施した30、40代の男性たちが校内暴力の加害者の自宅と学校を訪ねていき、脅しを掛けるのだ。同業者は「自分を『被害者生徒の叔父』と名乗り、学校に品物を届けながら、加害者側に存在感をアピールする方法だ」という。2週間の日程で1日50万ウォン(約5万円)を受け取る。

 教育庁への苦情や裁判を念頭に置いて証拠物を確保することもある。ソウル市九老区のある業者は、校内暴力が行われる場所をあらかじめ調査した後、近くの高層ビルに上って高画質カメラで暴行現場を撮影。40万ウォン(約4万円)を受け取る。こうした証拠物を学校に持ち込み「しっかりと措置しなければ、教育庁に届け出る。円満な解決を望む」と学校側を懐柔するという。

 京畿道安城市のある業者は、加害者の親に脅しを掛ける。退勤時間に合わせて加害者の父兄を待ち受け、被害者の傷を撮影した写真を見せながら「あなたのお子さんが学校の生徒をいじめているといったうわさが職場で立ってもいいのか」と脅迫するのだ。一人デモのようにプラカードを持って会社の前に立ったり、会社のロビーに「校内暴力の加害者の親が同社に通っている」と叫びながらその場に寝転んでしまったりといった方法だ。業者側は「被害者の親たちが直接解決に乗り出すと大人たちの闘いに発展する恐れもあり、業者を通じて解決しようとする傾向にある」と説明する。

 父兄たちは、暴力事件を矮小(わいしょう)化し、隠蔽(いんぺい)しようとする学校側の慣行がこうした私的制裁を育んだ、と主張する。学暴委は、事件が発生すればすぐに開かれなければならないが、教師、PTA会長、弁護士、外部の専門家などの参加者が時間の調整をしなければならないため、会議を召集するのに通常半月を要する。

 しかし、不法性を帯びた報復に対する懸念もある。高麗大学社会学科のキム・ユンテ教授は「私的制裁は結局のところ暴力以外の何物でもなく、公式的な手続きである学暴委の活動を改善し、補完していく方向で校内暴力を解決していくべきだ」と呼び掛ける。

パク・サンヒョン記者 , イ・ヨンビン記者
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