【コラム】中国にだけ有利な「一帯一路」

 一時は韓国に匹敵する工業国だったマレーシアは、現在中進国のわなから脱出するための製造業の再建が急がれる。こうした中、急務とも言えず、中国の戦略的利益が大きい鉄道建設で借金漬けになることはできないというのがマハティール首相の判断だ。

 不透明な契約プロセスも論議を呼んだ。工事は国際入札を行わず、随意契約方式が採用された。1キロメートル当たりの工事費は3040万ドルで、2016年に着工したマレー半島南部グマス-ジョホールバル間の複線電化事業(総延長179キロメートル)の1320万ドルの2.3倍に達する。マレーシア国内では国営投資会社の資金数億ドルを横領したとして窮地に追い込まれたナジブ前首相がリベートを狙ったのではないかという疑惑が浮上している。

 一帯一路はアジア、欧州、アフリカにかけ、大規模にインフラを整備し、新シルクロード経済ベルトを構築するプロジェクトであり、習主席が力点を置いている。中国は韓国をはじめとする80カ国余りを引き入れ、アジアインフラ投資銀行(AIIB)を設立した。

 しかし、工事全体の89%を中国企業が受注するなど、中国偏重で推進されており、インフラ整備先の国が過度の負債で財政危機に追い込まれるなど多くの問題が浮上した。債務負担に耐えられなくなったスリランカは、ハンバントタ港の運営権を99年間にわたり中国に認めた。マレーシアでは腐敗した権力者がリベートを受け取っていた可能性まで指摘されている。

 中国は今月初め、アフリカ53カ国の首脳を北京に集め、600億ドルに達する大規模な経済支援を約束した。しかし、善意攻勢で一帯一路の素顔を隠せると考えているならば、中国政府の誤算だ。

崔有植(チェ・ユシク)中国専門記者

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