韓国軍情報部隊の「戒厳文書」は実行計画だったのか

 与党側では「機務司が衛戍令や戒厳まで検討するのは越権、かつ権限の乱用」と主張している。当時の朴槿恵(パク・クンへ)政権の大統領府や黄教安(ファン・ギョアン)首相の首相室から、こうした検討の指示を下したのではないか、というのだ。だが韓国軍からは「機務司は戒厳宣布時に戒厳司令官を補佐する『合同捜査本部長』なので、法理の検討はできる」という声も上がっている。

■宋永武長官はなぜ4カ月も黙っていたのか

 宋永武長官は今年3月中旬にイ・ソック機務司令官から「機務司文書」の報告を受けたが、4カ月間、特に措置を取らなかった。当時国防部は、独自に法理の検討を進めたが、捜査対象にはならないと判断したといわれている。国防部関係者は「機務司の越権と考える余地はあったが、実行計画ではないと判断した」と釈明した。

 そんな国防部が、今月5日に李哲熙議員が機務司文書を公開した直後、「文書の作成経緯、時期、適切であったかどうか、関連の法理などについて確認および検討を行った後、捜査に転換するかどうかを判断したい」とコメントした。これは、国防部の当初の判断とは一致しない。文在寅(ムン・ジェイン)大統領の「独立捜査団を立ち上げて迅速、公正に捜査せよ」という指示には、国防部に対する叱責(しっせき)の意味もあるといわれている。

 大統領府関係者は10日、文大統領が外遊先のインドから特別指示を下したことについて「帰国後に指示をするのではあまりに遅いと判断したようだ」と語った。一方、野党側は「安全保障・経済の状況が気に入らない様相になるや、民主党が疑惑を提起し、青瓦台がこれを受けて積弊(積み重なった弊害)へと拡大・増幅している面がある。かなり政治的意図が垣間見える」と指摘した。

チョン・ヒョンソク記者 , チェ・ヨンジン記者
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