金塊密輸が主婦たちの間でうわさになって広がっている。主に香港から持ち込んだ金塊を仁川空港の免税区域で受け取り、日本に運ぶ役目だ。こうした傾向を受け、日本の空港では韓国人旅行客が金塊を所持していないかどうか検査を受ける例が増えている。
ソウル市麻浦区に住む40代の主婦は昨年初め、インターネット上で「日本旅行アルバイト募集」という書き込みを発見した。貿易業者が仁川から日本の福岡に品物を運ぶ人を探しているという内容だった。航空運賃とホテル宿泊料に加え、報酬として50万ウォン(約4万9600円)を支払うという条件が付いていた。
主婦と接触した業界関係者は「重さ1キログラムの金塊3個を運んでほしい」と持ちかけた。一般観光客は自己使用目的であれば、最大3キログラムまで日本に持ち込める(原文ママ)(編注:韓国語原文は事実誤認であり、個人的に使用すると認められるものに限り、海外市価で20万円相当分までが免税となる)。しかし、この主婦のように他人から受け取り、販売目的で持ち込む場合には、税関に申告の上、8%の関税を支払わなければならない。
主婦は月に1-2回、仁川空港で金塊2-3個を受け取り、日本行きの飛行機に乗った。主婦は「主婦たちが『おいしいバイト』と呼び、数人で団体旅行に出掛ける形で金塊を運ぶこともあると聞いた。今でもインターネットに似たような書き込みがある」と話した。
日本への金塊密輸は2014年から本格化した。日本政府が消費税率を5%から8%に引き上げ、日本国内で金の小売価格が上昇した。香港の免税店で金塊1キログラム(約5000万ウォン)を買い、日本で売却すれば、通常は500万ウォンの差益が生じるという。日本の空港では香港からの航空便の乗客の手荷物に対する監視が厳しい。密輸組織はそれを避けるため、韓国を経由する。日本の財務省によると、2013年まで年平均10件余りだった金塊密輸摘発件数は、14年に119件、15年に465件、16年に811件、17年に1347件へと増加した。
密輸組織は主婦を運び屋に使うことを好む。金塊は高価なので、運び屋がそのまま逃走することもある。警察関係者は「密輸組織にとっては、家族がいる主婦は逃走の恐れがさほどなく、口止めもしやすい」と話した。日本の空港では最近、税関職員が韓国人に「金塊を持っているか」と尋ね、手荷物を検査するケースが増えているという。