不動のエース、ソン・フンミンのほかに大きな歓声が上がったのは、第1節から第3節までゴールを守ったGK趙賢祐だった。彼はこの日、米スポーツニュースサイト「ブリーチャー・レポート」が発表したW杯グループリーグのベストイレブンに、イングランドのハリー・ケイン、クロアチアのルカ・モドリッチらと共に唯一のアジア人選手として選ばれた。趙賢祐は別に用意されたインタビューの場で、「いつも夢見てきたW杯の舞台に出場できたことに感謝し、次のW杯でも期待される選手になりたい。Kリーグに戻っても頑張る」と語った。「人気を実感しているか」との質問には、「韓国に戻ったばかりなのでまだ実感はない。国民に愛されたいと言う気持ちと同じくらい、妻からもたくさんの愛をもらいたい」と答え、家族思いの一面を見せた。その上で、「これからもっと有名になって、ヨーロッパにも行くことができる選手になりたい」と言った。
全体的には歓迎ムードだったが、4年前のことを思い起こさせる「卵投げ事件」もあった。選手たちが解散式のため、空港の一角に設けられた会場に2列になって立っていた時だった。1列目にいたソン・フンミンと申台竜監督の前に生卵が1個、投げつけられて割れた。ユニオンジャックがプリントされ、両端を結んでキャンディーのような形にしたクッションも飛んできた(韓国語で「アメをなめろ」は日本語の「くそ食らえ」と同じ意味)。その瞬間、ソン・フンミンの顔に戸惑いの表情が浮かんだ。申台竜監督も「これはいったいどういう事なんだ」という表情だった。その後のソン・フンミンのインタビューでも、彼の足の前に生卵が投げられた。 決勝トーナメント進出失敗に怒った一部の市民が投げたと思われる。これを見たほかのサポーターたちは「何をやっているんだ」と一喝し、こうした人々の行動は止まった。しかし、ソン・フンミンは複雑な胸の内を隠せなかった。ほかの選手たちも驚いた表情だった。
これについて直接言及した選手はいなかったが、ドイツ戦でゴールを決めた金英権(キム・ヨングォン)がインタビューで「これまでの非難が少しは賛辞に変わったようで幸いだ。もう非難されないようにしなければという目標ができた」と慎重に心境を語った。