日本による植民地時代に韓半島(朝鮮半島)から強制徴用された労働者を象徴する像(徴用工像)が釜山の日本総領事館近くの歩道に1か月以上も違法に置かれていた問題で、31日にこの像が強制的に撤去された。
この日の強制撤去はわずか20分で完了した。徴用工像の設置を主張する市民団体の反発が予想され、撤去は困難を極めるかと思われたが、作業は迅速に行われた。警察は「集会は法の範囲内で最大限保障する一方で、領事館施設の保護や、交通渋滞など市民への影響を最低限に抑えることに注力した」とコメントした。
この日午後2時ごろ、釜山市東区は、日本総領事館から40メートル離れた歩道にあった徴用工像を強制撤去する行政代執行に入った。行政代執行とは特定の団体や個人が自主的な撤去など法的義務を履行しない場合に、行政機関が代わりに強制執行する制度。徴用工像は4月30日夜、市民団体が領事館前にある旧日本軍慰安婦被害者を象徴する少女像の隣に設置しようとしたが、警察に阻止されて歩道の真ん中に置かれたままになっていた。
この日、現場にはデモ隊およそ100人が集まり、撤去を阻止しようとしたが、警察は1500人の機動隊を動員して徴用工像を何重にも取り囲んだ。現場に待機していた釜山市と東区の職員らは、フォークリフトで徴用工像をトラックに積み込んだ。デモ隊の一部はトラックの前に立ちはだかって反発したが、警察がメンバーを全員引っ張って移動させたため、大きな影響は出なかった。約20分間後、徴用工像は釜山市南区にある日帝強制動員歴史館へと運ばれた。東区は29日、歴史館側に文書で徴用工像の臨時保管を要請していた。東区は「韓国政府の立場を尊重し、法と原則に基づいて法に則った手続きを経て、違法に置かれた徴用工像を撤去した」と説明した。
撤去に先立ち31日午前には、釜山の東区庁で行政安全部、国土交通部、外交部(いずれも省に相当)など政府側と、市民団体の関係者らが徴用工像の設置場所をめぐって話し合いを行った。政府側は、領事館前の設置は違法である上に外交公館の保護という観点から適切でなく、外交問題に発展する可能性があると伝えたが、市民団体が主張を曲げず、話し合いは物別れに終わった。
徴用工像は当面の間、歴史館に保管される予定だ。歴史館側は「政府の方針である上、臨時の保管となるため、多くの人に見てもらえるよう1階ロビーに置きたい」とコメントした。