「胸触っていい?」「ホテル行こう」セクハラ事務次官を問責しない日本

 週刊新潮は、政治家の資金問題や女性問題を刺激的に暴露・報道してきた商業雑誌で、過激な時もある。だが、今回は取材内容がしっかりとしており、朝日新聞や毎日新聞など5大紙やNHK・共同通信といった主なメディアもすぐに後追い報道をしている。

 問題はその後だ。政府内の誰も福田次官に責任を問おうとしていないのだ。麻生太郎財務相は「事実なら、それはセクハラという意味ではアウト」と言いながら、調査する考えはないと答えた。被害者の証言が匿名によるものなので事実関係を特定するのが難しいという理由からだ。また、「緊張感をもって対応するように訓戒を述べた」「慎重さを欠いており、厳重注意した」「福田次官から申し出があり、十分な反省もあったと思っている」とも言った。財務省が森友問題に巻き込まれている状況で、このようなスキャンダルを出さないようしかり、本人も承知したので解任はしないということだ。

 このような問題が起こっても、日本はインターネット上で多少騒動になるだけで、本格的な「Me too運動」に広がる兆しはない。昨年10月から今年初めまで、フリーランスのジャーナリストや人気作家、舞台俳優などが数回、実名で取りざたされたが、さざ波が立つ程度にとどまった。

 専門家らは「文化的理由と政治的な理由の両方があるようだ」と分析する。日本は一度も国民が立ち上がって権力を覆したことがなく、決められた秩序を当然視する風潮が強い。女性に対するセクハラ問題でも、被害者の女性側が何らかの原因を作っているためだと認識する傾向が他国よりも強いとされる。

東京=金秀恵(キム・スへ)特派員
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