中国の急成長のおかげで「近隣国」韓国は、輸出と観光客増加など大きな経済的恩恵を受けた。そのため、韓国は日本に比べ、「中国楽観論」と「親中的見方」が強い。しかし、二大国どころか、米中逆転論までささやかれる状況に対し、経済的な計算ばかりしているわけにはいかない。経済成長と民主主義を短期間に成し遂げた韓国は経済的利益だけを優先する「エコノミックアニマル」ではない。
世界最強国を夢見る「中国の夢」は、自由民主主義、人権重視、国際法順守なあど人類が積み上げてきた「理想的価値」を破壊しかねない。経済が成長すれば、社会は開放的になり、結局は人権を尊重する自由民主主義国家へと発展するという楽観論は中国には通用しない。中国の経済の奇跡は結局「独裁」時代の幕開けにつながった。
モバイル、インターネット、シェアリング経済など進んだ未来型産業は自由の空気があふれる社会で花咲くという自由主義市場経済に対する信念も崩れつつある。阿里巴巴(アリババ)、百度(バイドゥ)、騰訊(テンセント)など全世界のユニコーン企業(時価総額10億ドル以上のスタートアップ企業)の3分の1は中国企業だ。
インターネットを規制し、人権を制限し、力で国際秩序を変えようとする国が世界経済を左右し、未来の産業まで主導することになれば、「自由民主主義+市場経済」のモデルの効率性、優越性を誰が信じるだろうか。既に中国が影響力を強めているアフリカ、中東、中南米の国々に「独裁+社会主義市場経済」という「中国モデル」がさらに広がるだろう。最近起きた米中貿易戦争は「中国の夢」に対する米国の本格的な反撃だ。貿易戦争の結果により、経済の主導権のみならず、国際秩序、イデオロギーの地図も塗り替わるかもしれない。