■「再交渉は要求しない」
韓国政府が「日本政府の拠出金10億円を認めない」というのは、事実上、慰安婦合意を認めないものと解釈できる。しかし、康京和長官は「日本政府に対して再交渉を要求しない」と言った。
また、同長官は「ただし、日本が自ら国際的・普遍的基準に基づいて真実をありのままに認め、被害者の名誉・尊厳回復と心の傷を癒す努力を続けることに期待する」とも述べた。 その上で、「慰安婦被害者の皆さんが一様に望んでいるのは、自発的な真の謝罪だ」という言葉で「追加措置の内容」も示唆した。15年の韓日合意に「最終的かつ不可逆的解決」という文言があったため、こうした「情緒的追加措置」の要求も日本側は合意の変更として受け止める可能性がある。
政府の処理方針があいまいなのは、まず生存している慰安婦被害者の意見が分かれているためだと思われる。外交部は同日、「康京和長官は政府措置を発表する前、生存被害者31人のうち意思疎通が可能な23人に会った」と述べた。これは「被害者中心主義」を強調し続けてきたことに基づく措置だという。外交部によると、「韓国挺身隊問題対策協議会」(挺対協)などの支援団体に所属していない生存被害者の中には「破棄・再交渉ではなく、不十分ではあるが15年の合意で収めよう」「日本からもっと受け取ろうとすることで両国関係がこじれてしまってはいけない」という人もいたとのことだ。