事前同意書を作成した人々は、主に「家族の負担になりたくない」という理由を挙げているという。カウンセラーのノ・スンヒさんは「治療費など経済的な負担もあるが、それよりも子どもが『親の延命治療をするべきかどうか』という難しい選択に迫られるような状況にしたくないという人が多い。難しい決断は事前に本人の手で済ませておきたいということだ」と説明した。
自身の「尊厳ある死」のために事前同意書を作成した人も少なくない。この日、事前同意書を作成したイさん(60)=女性=は「子どもは『今後もきちんと世話できるのに』と、むしろ寂しがっていた。だが、この世を去る時にどのような姿で記憶に残りたいのか、自分で決める権利があると思う」と言った。試験事業機関の「カクタン福祉財団」オ・ヘリョン常任理事は「多くの方が事前意向書に関心を示しているが、それでも子どもに遠慮したり、事前同意書制度が悪用されるかもしれないと心配したりしていケースもある。専門性の高いカウンセラーを育成し、制度の趣旨をよく説明できるようにしなければならない」と語った。