1991年までは北朝鮮には核がなく、韓国に核があったが、26年で状況は逆転し、北朝鮮に核があり、韓国には核がなくなった。世界史にこうした例はない。あの世で金日成(キム・イルソン)、金正日(キム・ジョンイル)親子が万歳していることだろう。犯罪集団の北朝鮮の体制がさらに安全になり、自由民主主義の韓国が不安になるというこの歴史ドラマにはどんなタイトルを付ければよいだろうか。
米国と北朝鮮の間でこうした現象が進む中、文大統領がどんな立場を取るかは分からない。数カ月前まで「開城工業団地再開」「THAAD配備延期」を主張していた文大統領ならば、米国と北朝鮮による交渉を歓迎し、南北首脳会談を提案するかもしれない。政府の努力で核危機が平和的に解決されたと自慢するような気もする。北朝鮮に徹底的にだまされても、「国が安全になった」と主張した太陽主義論者のように強弁するかもしれない。しかし、「北朝鮮に対する軍事力強化」に言及する今の文大統領ならば、北朝鮮の核保有公認を安全保障危機と受け取め、対策に乗り出すようにも思える。
文大統領がいつの日か、国民の前に立ち、驚くべき重大発表を行う姿を思い浮かべてみよう。北朝鮮は盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権下で最初の核実験を行い、文政権の時代に核開発を締めくくる。文大統領が書いた本のタイトルのようにこれが本当の『運命』ではないかと思う。