駐エチオピア韓国大使ら、性犯罪の疑いで捜査

 この外交官が事件を起こした時、キム大使は休暇中で韓国にいた。「『部下を適切に監督できていない』とキム大使の指揮監督責任を問うのは難しいのでは」という声もあった。ところが、韓国に戻った被害者の女性が「キム大使にも不愉快なセクハラ行為やわいせつ行為などを受けた」と話していたことが分かり、状況が一変した。現地在住の韓国人社会でも「キム大使が現地に派遣された外交部傘下団体の職員と酒を飲む様子は不適切に見えた」という情報提供が相次いだ。このため、外交部はキム大使の任期中にエチオピアで勤務経験のある国内団体の元職員・現職員約100人に情報提供を依頼するメールを送信し、現地に特別監査団を派遣した。

 その結果、キム大使は複数の人物に対し性犯罪を起こしていたとの情報を得たという。大検察庁関係者も「被害者は複数いる。すぐにでも該当部署に事件を担当させる方針だ」と語った。だが、キム大使は外交部の調査で容疑を否認しているとのことだ。

■「『大使は王様』という雰囲気あって通報できない」

 被害を受けた女性たちはかなり前に起こった事件の内容をはっきりと語れるほど大きなショックを受けていることが分かった。

 しかし、外交部が特別監査に着手するまで、誰も被害を外交部に訴えたり、捜査機関に通報したりしなかった。現地事情に詳しい消息筋は「在外公館、特にエチオピアのように韓国人在住者が少ない所では、大使は現地の韓国人社会にとって王様のような存在だ。大使館の世話になければどうにもならない仕事をしていれば、被害に遭ったことを明らかにしても葬られる可能性があるため、隠すことがある」と語った。

 世界200カ所に散在する在外公館を外交部がきちんと統制できていないことも、外交官の規律の緩みを招いている要因だ。昨年12月には駐チリ韓国大使館勤務の参事官が現地の複数の未成年者に対してわいせつな行為をし、現地メディアに報道された。同月、中東地域に勤務していた現職大使は大使館の韓国人女性職員に対するセクハラ(性的嫌がらせ)行為で減給3カ月の懲戒処分を受けている。

金真明(キム・ジンミョン)記者 , ユン・ジュホン記者
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