警察はこれまで3回、住民らが設置・運営している違法検問所を強制的に撤去しようとしたが、そのたびに高齢の女性たちがデモ現場に出てきた。警察は「高齢女性デモ隊」の背後にTHAAD反対勢力の存在があると考えている。警察が強制力を行使できないよう、意図的に高齢の女性を前面に立たせているのだ。警察関係者は「いくら違法だとしても、高齢の女性たちを強制的に連行するのは容易ではない。デモの形態はますます緻密(ちみつ)で知能的になっているように感じる」と語った。
警察と軍の立場にも温度差があるようだ。警察はこれまで、道路交通法違反・集会およびデモに関する法律違反・交通妨害罪などを適用して約50人を逮捕・召喚している。法を守るための基本的業務はしていると自負している。だがその一方で軍は、THAADを配備する過程で、これに反対する住民らの気に障らないようにしている様子がうかがえる。軍は先月12日午前、THAAD基地内で故障したトラックを移動させるため、レッカー車の搬入に関して警察に支援を要請した。ところが、軍は同じ件で住民にも事前に通知し、住民が先に道を占拠すると、作戦を取り消した。軍を支援しようと約1500人を急きょ派遣した警察も仕方なく撤退した。この件でも「無気力な公権力」という声がまた聞かれた。
文在寅(ムン・ジェイン)大統領が先日、THAADの追加配備を指示したが、軍を含めた政府レベルでの「後続措置」はまったく伝えられていない。警察を何もできなくしているのはTHAADに反対する数十人の団体メンバーや住民だけではない、と考えずにはいられない。