金正男殺害:暗殺失敗時に備え「第2攻撃班」も

18日付マレーシア紙、ニュー・ストレーツ・タイムズによると、男3人が犯行現場から約50メートル離れた「ビビック・ヘリテージ」というレストランに午前7時半から犯行時刻の午前9時ごろまで待機していた。彼らが2次攻撃班のホン・ソンハク、リ・ジヒョン両容疑者と暗殺総責任者のオ・ジョンギル容疑者だった可能性がある。

 マレーシア警察によると、リ・ジョンチョル容疑者を除く容疑者4人は事件当日の13日に出国した。現地メディアは、4人がいずれも航空券を事前に購入していたと報じた。脱出計画まで細かく練っていたことになる。容疑者らは事件直後にトイレで服を着替え、近隣国に向かう飛行機に乗ったとされる。

 対南工作員出身の脱北者は「北朝鮮で金英哲(キムヨンチョル)氏が労働党の統一戦線部長に就任し、偵察総局(国務委員会所属)傘下の35号室(海外・対南情報担当)と作戦部(スパイ派遣)を労働党傘下に再編入したという話を聞いた。今後は北朝鮮の工作機関による活動が活発化しそうだ」と話した。

 マレーシアの華字紙「中国報」によると、男らは13日夕方の便でマレーシアを脱出し、インドネシアとスラバヤ、アラブ首長国連邦(UAE)のドバイ、ロシアのウラジオストクを経由し、17日に平壌に戻った。北朝鮮が暗殺要員を速やかに帰還させたことを意味する。マレーシアで逮捕された「常駐工作員」リ・ジョンチョルを速やかに逃亡させなかったことを疑問視する見方もある。

 ニュー・ストレーツ・タイムズは、容疑者らが1年前からシンガポール、マレーシア、マカオを往来する金正男氏の動きを把握し、暗殺計画を立てたとの見方を報じた。マレーシアで暗殺を実行した理由について、対北朝鮮消息筋は「北朝鮮旅券でもノービザで入国でき、工作員の活動がやりやすいためだ」と述べた。香港紙サウスチャイナ・モーニング・ポストは「(金正男氏を保護する)中国領内での暗殺は難しいと感じたのではないか」と指摘した。

【図】金正男暗殺の容疑者

クアラルンプール=チェ・ギュミン特派員 , 呉允熙(オ・ユンヒ)記者
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