【コラム】新たな袁世凱を自ら生み出す韓国政府の低姿勢外交

陳氏は中国で事業を展開する韓国の企業経営者にも会っていたが、その時はおそらくもっと踏み込んだ話をしていたのだろう。ある大手企業の関係者は政府に「(THAAD配備に関して陳氏から)脅迫めいた話も聞いた」と伝えたという。このことを明かした政府関係者は「(陳氏が)どのような脅迫をしてきたかは話せない。それが外に流れれば、その企業がどこかが分かってしまい、中国でもっと厳しい報復を受ける恐れがあるからだ」と明かした。

 陳氏が所属する中国外交部アジア局には4人の副局長がいるが、その中の1人にすぎない陳氏は韓国外交部で言えば課長よりも少し上の程度だ。その程度の人物がソウルでさまざまな活動をしている間に、かつて韓国大統領府で国家安保室長(閣僚級)を務めた金章洙(キム・ジャンス)駐中大使は北京で何をやっていただろうか。金大使が北京で中国政府から相手にされず、閣僚どころがそれ以下の中国政府関係者にさえ接触できなかった事実はもはや秘密でも何でもない。

 韓国政府は閣僚経験のある人物を中国に大使として派遣するが、中国が韓国に大使として派遣するのは常に局長あるいは副局長クラスだ。ちなみに北朝鮮には次官クラスを大使として派遣していることから、韓国は北朝鮮よりも軽く見られているわけだが、陳氏の今回の来韓でその理由がはっきりした。韓国には課長クラスを派遣しても大物政治家がすぐ会ってくれるのだ。

 今月4日、宋栄吉(ソン・ヨンギル)議員ら共に民主党の国会議員7人がまたも中国を訪問した。彼らは北京で王毅・外相や、全国人民代表大会(全人代)外事委員会主任委員の傅瑩氏らと面会し、孔鉉佑・外務次官補主催の夕食会に出席したが、それによって中国における韓国政府の権威はむしろ一層低下するだろう。かつて袁世凱による朝鮮での横暴を許したのは当時の朝鮮におけるふがいない外交政策だったが、今回陳氏を陳世凱としてしまったのも、同じく韓国政府の中国に対する行き過ぎた低姿勢外交に外ならない。

政治部=金真明(キム・ジンミョン)記者
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