ここで改めてウォルマートについて考えてみよう。ウォルマートの競争力も以前に比べて下がりつつあるが、それは大量販売・大量購入に支えられた競争力が崩壊しつつあるからだ。ウォルマートが今のやり方を続け、メーカーに圧力をかけて価格を下げるのに限界が出てきた理由はアマゾンやアリババなどネット企業の台頭だ。これらのネット企業は流通段階をなくし、顧客との直接取引を行っているため、その競争力はウォルマートよりも格段に優れている。何をやっても状況が改善できなくなれば、それはまさに危機だ。現代自労組もこれと同じような状況に直面しているから危機というわけだ。
ことわざに「寝る場所を見て脚を伸ばせ(時と場所をわきまえて行動すべき)」と言われる。自動車を製造する競争力について言えば「韓国国内ではもう限界」という見方は脅しでもないし、決して大げさな話でもない。現代自の社員の賃金はトヨタやフォルクスワーゲンよりも高いという。経済の民主化という話が出始めた背景には、従来型の資本主義が限界に達し、今改めて進化が求められているという事情がある。しかしこの進化は会社の努力だけでできるものではない。労働条件を向上させるには組合の役割ももちろん重要だが、組合も状況に合わせて進化しなければ、その役割や機能まで失ってしまうかもしれないのだ。