にもかかわらず、人々は「地震発生時に政府は予報できなかった」などとして地震をめぐる憶測に神経を尖らせている。釜山市機張郡と蔚山市蔚州郡にある新古里原発の周辺で勤務する警察官らが24日午後3時ごろ、ガスのにおいがすると通報したことが伝わり、人々は「自宅でもガスのにおいがしている気がする」などと不安を募らせた。
24日から25日にかけて釜山でガス臭に関する通報が11件寄せられ、調査に当たった釜山消防本部は石油化学産業団地のある蔚山で発生した悪臭が風に乗って漂ってきたものと推定した。だが、釜山のある主婦(56)は「7月にガスのにおいがしたときも付臭剤(化学物質に臭気を付ける添加剤)が原因と結論付けられたが、結局地震が発生した。政府の発表を信じられない」と話す。
慶州では地震の後、日本が韓半島(朝鮮半島)の地震を事前に感知していたというデマも広がった。それによると、この先M6.8の強い地震が発生するという。金寛容(キム・グァンヨン)慶尚北道知事はデマを払拭(ふっしょく)しようと、24日に震源となった慶州市内南面の公民館で一晩を過ごした。
専門家らは、地震をめぐるデマや憶測が広がっているのは人々の不安と政府のお粗末な対応、政治家の無責任な発言などが原因だと指摘する。
国会安全行政委員会に所属する最大野党「共に民主党」のペク・チェヒョン議員は24日「慶州で発生したM5.8の地震が前兆現象ならば、今後2.6年後に震度8.0以上の大規模地震が発生する可能性がある」と述べた。この発言をめぐっては「だからどうしろというのか。誰かが反論するか、さもなければ対策を打ち出すべきでは」(慶尚北道・浦項の住民)と無責任さを批判する声も聞かれる。
又松大学のイン・セジン教授(消防防災学科)は「不安ばかりが増す前兆現象に注目するより、地震発生時の被害を食い止めるためのマニュアルを学ぶべきだ」と助言している。