シンガポール政府は1970年代以降、家政婦を国外から募り始めた。自国の女性の育児への負担を減らして経済活動への参加率を引き上げるためだ。この政策は相当な効果を発揮した。70年代には40%台だった女性の経済活動への参加率は、60%台にまで跳ね上がった。韓国は依然として50%台初めにとどまっている。
急激な人口減少を目前に控えた韓国でも、家政婦を海外から募ろうとする意見が出始めている。延世大学のモ・ジョンリン教授は先日発表した論文で「働く30代女性のほとんどが低賃金で外国人家政婦を雇う意向があり、市場が開放されれば女性の経済活動への参加率は10%以上上昇する」と説明した。政府でもこの問題をめぐり激論が交わされているという。一方では、女性の経済活動への参加率の上昇と低出産対策の一つとして門戸を開放しようと主張し、もう一方では非熟練女性の働き口を奪ってしまうことに対する懸念、若い家政婦を雇用することに伴う家庭内不和などの問題を挙げ、反対しているという。シンガポールのケースからすると、こうした懸念は十分に管理可能な問題といえる。また、最初から家政婦市場を開放しなかったなら話は別だが、月給200万ウォンの中国人同胞には門戸を開きながらも、70万ウォン(約6万4000円)のフィリピン人家政婦を拒む理由はどこにもない。「保育は国が責任を負うから子どもだけを生めばいい」という約束を守ることができないなら、家政婦に子どもを任せて職場に出る女性の経済的負担を減らすべきではないのか。