景気が回復し所得が増えれば、住宅価格が上昇するのは自然なことだ。しかし、現在の世界的な住宅相場過熱は不況を防ぐための低金利政策が派生したものにすぎない。金融危機以降、米国など世界各国は不況を防ぐために現金をばらまく政策を展開している。その結果、人類がいまだかつて経験したことがない「マイナス金利」時代を迎えた。市場に供給された巨額の資金が消費や投資ではなく、資産市場に流入し、新たなバブルを生んでいる格好だ。ニューヨークのダウ平均など主要株価指標が過去最高値を記録したのも低金利の力だ。狂った住宅価格は狂った低金利の副作用と言える。
マイナス金利がさらにどれほどのバブルを生み出すかは現時点で分からない。しかし、バブルが際限なく拡大することはないという点は明らかだ。膨らんだバブルはいつか弾け、経済を破局に追い込むだろう。東京の土地を売れば、米全土を買えると言われるほどバブルが膨らんだ日本の不動産市場は30年間に及ぶ長期低迷に入っている。リーマンショックはあっても住宅価格が高騰したシンガポール、香港では最近住宅が暴落している。中国の不動産市場も冷え込む兆しを見せている。韓国も不動産価格が上昇しているのは一部地域だけで、家計債務は急激に膨らんでいる。山が高ければ谷も深い。政策当局の慎重な対策が求められる。