国が何をしてくれたわけでもないのに、愛国心ばかりを強調することを不快に感じる人もいるだろう。いわゆる「88万ウォン(約8万円)=20代の非正規労働者の平均月給=世代」の間で、出口のない無限競争に疲れた若者が幸福な人生を求めて韓国を離れるという内容の小説「韓国が嫌いで」が話題になるかと思えば、あらゆることを「泥スプーンVS金スプーン」という階級論で捉える見方がまんえんし、経済的な理由から結婚をしない、または延期する若者がそこここにいる。こうした状況では、国の何が重要なのかと考えるかもしれない。しかし一方で、公務員の職を切望するたくさんの若者たちを見ると、国家が今や安定した職場という存在に落ちたかのような気にもなる。
今のような状態で国に対して厳粛主義的な態度を強く求めるなど、世情を知らない人かもしれない。チン・ギョンジュン検事長をはじめ、国の権力をためらいなく蓄財手段に活用するお偉いさんたちが健在であることが判明し、いくらプライベートな席とはいえ「99%の民衆はイヌやブタ」と口にする高官がいるのに、何が愛国だと言われれば、返す言葉がない。
一方ではクッポンと言って国をこき下ろし、もう一方では私利私欲のために自分の地位を利用している間に、私たちが守るべき国はどこへ行ってしまったのか。「仁川上陸作戦」のような映画は、むしろこんな国の「意味を探す」という観点で見るべきではないだろうか。