現実と懸け離れている内容も盛り込まれている。例えば、中学生用の性教育教材の「性欲求の調節」という章には「大人になって結婚するまで性関係を慎しむのが望ましい」と書かれている。韓国の初婚年齢(ソウル市基準)は男性が33歳、女性が31歳という現実を全く考慮していないのだ。京畿大学のキム・デユ教授(教育学科)は「性教育の教材が『禁欲』にのみ焦点が置かれているようで現実性に欠ける。男女間の固定的な性的役割についての壁が年々低くなっているだけに、現実に合った性教育のガイドラインが学校側から提示されるべき」と主張する。
同教材の「性的衝動」という章では、刺激を与える服装を避けるよう記述されているのも問題だ。青少年性問題相談所のタクティン教育のイ・ヒョンスク代表は「女性は常につつましくなければならず身なりで男性を刺激してはならないなどと青少年たちに教えることは、性的暴行に遭った被害者に責任をなすり付けるのと同じ」と話す。
■教育部-女性家族部の「意思疎通」に問題も
こうした性教育教材の問題点は、「性教育標準案の執筆に現場の教師らの声がほとんど反映されていないために生じた現象」と専門家たちは指摘する。同標準案は、6人の共同執筆者が全て大学教授であるだけで、実際に一線で生徒たちと毎日対話する学校の保健教師などは一人も執筆に参加していない。
政府部署間の意思疎通にも問題があるといった指摘だ。青少年の性問題については女性家族部が担当しているが、学校の性教育については教育部が担当している。女性家族部の関係者は「教育部が性教育標準案を執筆した当時、協力や諮問を要請されたことはなかった」という。これについて教育部の関係者は「女性家族部や女性団体での検討を経て今年の夏までには性教育標準案の改正案を提出する」と話した。