写真展に企画段階から関わった知識人で在日韓国人の徐京植教授は、福島の原発事故と、日本による韓半島(朝鮮半島)の植民地支配を重ね合わせる。核心は「反省なき日本」。放射能災害は、日本が国策によって東京電力と共に全世界に及ぼした害だ、というわけだ。世界の海と世界の空気を汚染したのだから、当然全世界に向けて謝罪し、二度とそのようなことはしないと約束すべきなのだ。しかし日本は自国民にすらまともに謝罪しないまま時間だけが過ぎている、と同教授は指摘する。これは「ファシズム回帰」の兆候だ。
『終わりなき危機』(ヘレン・カルディコット監修)は、福島原発事故の医学的・生態学的影響に関する最新の研究とエッセーをまとめたものだ。代表著者のヘレン・カルディコット氏は「医師としての社会的責任を追及するための組織」の共同設立者であり、反核活動家でもある。同氏は2013年3月、ニューヨークでシンポジウムを開催し、医学・生物学・原子力学・エネルギー学の観点からシンポジウムの結果をまとめた。同氏は「世界の主要メディアは放射能に関して恐ろしいほど無知だった」と批判し「安全な放射線量」などないと言い切る。「年間20ミリシーベルトまでは放射能にさらされても大丈夫」という日本政府の発表に真っ向から反論しているわけだ。年間20ミリシーベルトとは胸部レントゲンを1日3回ずつ1年間撮影した場合の放射線量に相当する。しかし(1)体に入った放射性元素は将来にわたり蓄積され、(2)子どもは放射線の影響による発がん可能性が成人の10-20倍に達し、(3)がんと白血病の潜伏期は5-10年であることから、福島の場合はここからが始まりだと警告する。